空は、北風にかき回されて、泡立っていた。行き場のない太陽は、おぼつかない足取りで、うろたえていた。地上は、切れ味の良いハサミで切り抜かれた、黒々とした影絵。急にやって来た冬は、秋に気遣いもせず、押しのけ、居座る様子を見せていた。季節同志の争いが、始まりそうだ。季節の争いは、どうやら互角のようだ。朝晩は、日に日に、寒さを増して行き、その分、日中の小春日和は、暖かさ増していった。その結果、寒暖の差が大きくなるにつれて、秋と冬が作り上げた合作は、見事な紅葉となって、野山を彩る。地上のキャンバスに、錦織りなす、景色を描いた季節を、過ぎ行く秋へのはなむけとして、見送っていた。過ぎ去った秋が残した贈り物は、一点の曇りのない青空に、限りなく深い澄んだ心と、空から降り注ぐ、慈しみの暖かさ、そんな自然の愛情を、教えてくれた。
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