深い谷津田に囲まれ、白い霜に覆われた大地は、いつも丘陵の向うからやって来る、日の出の明るい陽射しが、声を掛けてくるのを、待ちながら、静かな眠りをむさぼっていた。まだ薄暗く、先日の強風で飛ばされ、折られた、木々の枝などが落ちて、歩きづらい、林の中の小道を、登っていると、木々の間をすり抜けて、明るく眩しい光が、降り注いできた。足元が、明るく照らされて、歩くのが楽になった。坂を登り切った、平地までやって来ると、陽は高く上り、燦々と暖かい陽射しを、投げかけて来た。おや、明るい陽射しに誘われるように、陽だまりで、目を覚ましたものがいた。柔らかい、萌黄色をした、フキノトウの坊やだった。今年、初めての出会いだった。また、その傍らに、枯れて、その姿も哀れなタンポポの根方から、黄色く、瑞々しい、新たに生まれた、花が咲いていた。冷たく凍り付いた大地は、近づいてくる春の足音を、かすかに感じて、微笑んでいる様な、春の目覚めが、各所で見られるようになってきた。
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