汗を拭きながら、丘陵の坂道を登り、峠と呼べるほどではないが、中腹の視界の開けた場所へ出てきた。立ち止まり、下から吹きあがってくる、涼しい風に、シャツのボタンを外して、胸元に取り込むと、一息ついた。『あぁー、気持ちいい』と声を上げてしまった。『丘を越えて、行こうよ。真澄の空は、朗らかに、晴れて、楽しいこころ』何故か、藤山一郎が歌った『丘を越えて』が、自然と口を突いて出た。幼い頃に聞いた事のある歌だったが、すっかり忘れていたものが、頭の片隅にでも残っていたのだろうか、はっきりと、歌詞まで出てきて、自分でも驚いてしまった。視界の景色が、過去に歌を聞いて、抱いた情景にそっくりだったのか、きっと、その気持ちが、そうさせたのだろう。さあ、もう一息、頂上まで登っていこう。途中、タチアオイが、赤い花を咲かせていた。
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