丘陵は、新調した緑のスーツを身に着けて、晴れ舞台に上がろうとしていたけれど、意地悪な雨が、その姿を、霞の向こうに消してしまっていた。おぼろげに見える、歩む先の景色は、緑一色の筆遣いで、描かれていたので、ボタンクサギの生えた茂みの中から、アマガエルの鳴き声が聞こえていたので、鳴き声を辿ってみたが、その姿は、なかなか見つけられなかった。緑の葉の上で鳴いていた、緑色をしたアマガエルの存在が、保護色に助けられていたのだった。その反対に、緑の葉の上で休んでいた、黒い羽に、派手な模様を施したカノコガと、透き通った羽のため、黒い胴がよく目立っている、コスカシバは、簡単に見つけられた。雨に喜ぶアマガエルと、雨に困っている虫たち、動物たちも、人並みに、矛盾な世界の中で生きているようだった。
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