うっすらと靄に包まれ、ものみな微動だにせぬ、静寂な世界の中で、夜明けを迎えた。草葉に宿した露を落とさずに抱えた、目の前に立ち並ぶ、『セイバンモロコシ』が、墨絵の主人公の様に、日の出に染まったスクリーンに、くっきりとその姿が描かれていた。川面から沸き立つ川霧に、太陽の姿は、まだ天空に滲み、肉眼で直視して、拝むことが出来た。徐々に日の出が進むにつれて、ぼんやりとヒツジダの緑色のジュウタンが浮かび上がり、黒々と長く伸びた、丘陵の稜線が、茜色に染まった。丘陵の裾を巻くように出来た農道を歩いていると、頭上から突然、光りのシャワーを浴びた。丘陵の陰になって、薄暗かった農道が、モノクロの世界から、カラーの世界へと変身、爽やかな朝がやってきた。冷えた大気の中で、ほんのりとした暖かさは、何よりのご馳走だった。
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