やや強い風を受けながら、坂道を下って行くと、黒い影を落とした丘陵が、イビキを掻きながら、まだ寝入っていた。寝息だろうか、モクモクモクと、湧き上がる雲となって、次から次へと空に昇って行き、太陽までを覆ってしまうほどの勢いだった。雲の尻尾を掴んで、天上へ昇って行ったら、爽快だろうな。ひと飛びで、十万八千里を行くと言う、孫悟空の乗る筋斗雲(キントウン)のような、超特急の雲に乗って、地球一周の旅をしてみたいなどと、空想を巡らしたいほど、ワクワクした光景が、目の前に広がっていた。川の流れにユラユラと揺れ、水面に顔を出したり、引っ込めたりしている、バイカモ(水草)の上を、ハグロトンボが、忙しなく飛び回り、卵を産み付けていた。丁度、作業を終えたハグロトンボのペアが、目の前の、ススキの葉の上に止まった。まだ、雌の方の尻尾は、曲がったままだった。
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