東の空を明けに染め、ぬっと顔を出した太陽からの日射しは、大地を明るく照らし出した。凍てついた大地に忍耐強く命を繋いでいる草の葉に宿る霜が溶け、陽射しに応えるように、水蒸気に姿を変え、靄となって漂い始める。そんな情景が見られる冷え込んだ早朝は、えも言えぬ神聖な世界を充分に味わえる。総合公園の入り口近くに、でんと聳え立つクスノキ『楠』の大木がある。そのクスノキ曰く、現在、モミジ狩りだと人々は、木々が色づく紅葉を愛でているが、常緑樹のクスノキは、いつも変わらない姿でいるので、こんなに立派に育っていても、人はあまり関心を示すことなく、見上げられたり、褒められたりすることはなかったと言う。紅葉を愛でられた木々たちは、冷たい北風に葉を散らされ、寒い冬を裸で過ごす姿はみじめだった。その点しっかり葉を繁らして変わらないクスノキに、『いつも変わらない』という一番大切な生き方を教えてもらったように感じた。
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