歴史を記して来た一冊の本があった。昨日の2020頁(ページ)まで書き上がり、本日、真っ新な2021頁を緊張して、親指と人差し指でめくった。まず、『新年明けまして、おめでとう』と記した。これから始まる一年を、この筆でどんな物と事を綴っていけるだろうかと、期待と不安な気持ちでいっぱいだった。さあ、始めよう2021年を。どんな小さな音を立てても、壊れそうな静寂の中、キーンと張り詰め、凍りそうに冷え切った大気が,肌を刺す寒さを堪えながら待つ日の出だった。オレンジ色に段々色濃く染まりつつある空は晴れ渡り、一つの雲も見つけられなかった。黒い姿で横たわる東に見える丘陵の一点が明るくなり、その明るさは、一秒ごとに輝きを増して行った。そして、一瞬その輝きが爆発し、光が走って来て目を伏せた。新しい年に迎えた、『初日の出』だった。昨日と少しも変わらない太陽だけれど、心の中にある気持ちが改まると、目に映るすべてのものまでが新鮮に見えるのだった。『おめでとう』とは、地に落ちた種が芽を出して、成長し、花を咲かせ、実を付ける、その命の尽きる日までの旅立ちを祝った言葉だった。それゆえ、新年の始まりは、『明けましておめでとう』だ。
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